婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
ニコッと笑うと、小鳥遊さんは暴れる拓海さんを連れて部屋を後にする。

『手はず通り』って、一体どこへ拓海さんは連れて行かれるのか?

だが、今は彼のことを気にしている場合ではない。

玲人君とふたりきりになり、気詰まりを覚えた。

あ〜、どうすればいいの?

彼にはもう私が父を助けるために拓海さんの愛人になろうとしたことがバレている。

合わせる顔がないよ。

ベッドから起き上がるが、玲人君に自分から声をかける勇気もなく、俯いて下唇を噛んだ。

「瑠璃」

玲人君が静かな声で私を呼ぶ。

だが、顔を上げて彼を見ることは出来なかった。

そんな私の顎をクイと掴んで、玲人君は私と目を合わせる。

深緑の綺麗な瞳が私の目を射抜いた。

「これからは俺にどんなことでも言って欲しい。今日みたいに勝手にいなくならないで」

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