婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
「今日、瑠璃のお父さんのところにお見舞いに行って、その指輪見せてあげよう」

「うん、そうだね」

彼の思いやりのある言葉に、私は破顔した。





その年の十二月、私は宮古島にいた。

「瑠璃、綺麗よ」

ウェディングドレス姿の私を見て母は頰を緩める。

隣にいる父は目を潤ませながら、母の言葉に相槌を打った。

「うん、綺麗だなあ」

父の怪我はリハビリの甲斐もあり、今では松葉杖がなくても歩けるようになった。

母の話では私とヴァージンロードを歩くためにかなり頑張ったらしい。

仕事の方も拓海さんの弟の海斗君が父の跡を継ぐことが決まり一安心。

今日は私の結婚式。

空は青く澄んでいて、雲ひとつない。

コンコンとノックの音がしてブライダルコーディネーターのお姉さんが「もうすぐ式の時間です」と呼びに来た。
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