婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
動揺する私に、彼は顔を近づけて囁く。

「綺麗だよ」

ボッと火がついたように赤くなる私に彼はチュッとキスをする。

まだ周りにスタッフがいるんですけど……。

「れ、玲人君〜!誰かに見られちゃうよ」

周りをキョロキョロしながら彼に注意した。

なんか……以前も似たようなことがあったよね。

「式で誓いのキスするんだよ。これ予行練習だから」

玲人君は悪戯っぽく笑うと、何も言い返せずに唖然とする私の手をしっかりと握る。

「じゃあ、行こうか」

「……うん」

結婚式の日でも私達のこのやり取りは相変わらずだ。

でも、彼のおかげで緊張はすっかり解けて……。

今、私はヴァージンロードを一歩一歩歩いて、あなたの元へ行く。

その曇りのない深緑の瞳に魅せられたその日から、私はあなたに恋をしている。

それは一生変わらないだろう。
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