婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
心の準備が出来てないし……。

いや、そもそも一緒に住む気なんてなかった。

動揺を抑えきれずに言えば、彼は無表情で聞いてくる。

「じゃあ、いつならいいのかな?」

「それはその……」

いつか婚約を解消するつもりだから、永遠にそんな日は来ない。

でも、それを言ったら、私が玲人君に不満があるって思われるかも。

ああ〜、何て言えばいいの〜!

返答に困って彼から視線を逸らすと、彼は軽く溜め息をついた。

「瑠璃を待ってたら、お互いじいさん、ばあさんになるよ」

「だったら、玲人君はいいの?私と住むんだよ?」

そしたら、益々婚約解消しにくくなるじゃない!

なんで反対しないの?

ひょっとして自分の人生諦めて自棄になってる?

「婚約してるんだし、何の問題もない」

玲人君は平然とした顔で答える。

その顔からは、彼の感情が読み取れない。
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