婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
礼儀正しい婚約者なんていらない。

もっと本音でものを言ってよ!

「そういうんじゃなくて……私が言いたいのは……⁉︎」

思わずカッとなって声を荒げたら、彼が私の口を押さえた。

「静かに。もう夜遅いんだから、そんな大声出さない。ここで言い合ってても疲れるだけだ」

憎らしいほど落ち着いた声で注意され、彼に抱き上げられた。

「ちょっ!下ろして!」

手足をバタバタさせて抵抗したら、彼は呆れた顔をする。

「無駄な足掻き。あんまり暴れると、下着が見えるよ」

その発言にカーッと顔の熱が上がる。

私はそのまま黙って彼に運ばれた。

部屋に着くと、玲人君は私を下ろして鍵を開ける。

「さあ、どうぞ」

彼に促されて中に入れば、新築のいい匂いがした。

玲人君に続いて玄関を上がると、目の前にまっすぐ伸びている廊下を歩く。

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