婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
彼は迷わず突き当たりにあるドアを開けた。

そこは三十畳ほどある広いリビングで、暖炉もあり、真ん中に置いてあるソファセットはイタリア製の白のレザー。天井は高く、豪華なシャンデリアが輝いている。

ホーッと見惚れていたら、玲人君がそんな私を見てクスリと笑った。

「インテリアコーディネーターに頼んだんだけど、気に入った?」

気に入ったどころではない。

まさに私が夢見ていたような部屋で……。

「素敵すぎて……夢の中にいるみたい」

「それは良かった。じゃあ、お風呂沸かしてくるから、家の中探検してきたらいいよ」

玲人君はそう言いながらスーツのジャケットを脱いで、ネクタイを外し、リビングを出て行く。

ソファにストンと腰を下ろし、フーッとひと息ついた。

今朝会社に行く時に、やたらお母さんがニヤニヤしてたのは、この新居のことがあったからなんだろうな。

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