婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
私をビックリさせようとしたんだろうけど、事前に知らせて欲しかった。

玲人君も玲人君だ。

彼の様子だとここに来たのは初めてではなさそうだし、もっと前から知っていた気がする。

彼は何を考えて私と住むことを了承したのだろう。

なんかもう……今日は精神的にも肉体的にも疲れてて、何も考えられない。

天井のシャンデリアを見つめてまどろんでいたら、玲人君にトンと肩を叩かれた。

「瑠璃、お風呂沸いたよ。先に入ってきたら?」

「あ……うん」

ボーッとする頭で返事をしてソファから立ち上がる。

玲人君はいつの間にか、ダークグレーの部屋着に着替えていた。

こういう格好も絵になるな……なんて思いながらバスルームに向おうとして、足が止まる。

「バスルームってどこかな?」

自分の新居というより、人の家にお邪魔している気分だ。

「こっち」
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