婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
3、彼の解禁
『好きだよ』

玲人君の声が聞こえた。

でも……これは、夢だ。

私にとって都合のいい夢。

夢の中でもいいから、彼にそう言われたい。

そう強く願って……たまに神様が見せてくれる。

現実だったらどんなにいいだろう。

彼以外の人なんてきっと好きになれないな。

そう思いながら、夢の世界に溺れていくのだ。

愛おしげに私の頭を撫でる彼の手。

その温かさ、その感触。

なんてリアルな夢ーー。

ずっとこうしていたい。

でも……夢はいつか終わる。

ピピピッ、ピピピッと目覚まし時計の音が聞こえてきた。

でも……これはいつもの私の目覚まし時計の音じゃない。

ん?

何で?

そう思いながら手探りで目覚まし時計を探すが、いつもの場所にはなくて、代わりにサラサラした髪の感触がした。

んん?

何で髪の毛!
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