婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
「うちの他にどこにお嫁に行くつもりなの?」

私の声が聞こえたのか、彼はベッドに近づき、布団をめくると、じっと私を見つめてきた。

だが、まともに彼の顔なんて見れなくて、顔を背ける。

「そんな宛てないけど……。あ〜、だって……私の……裸……見たんでしょう?」

あまりに恥ずかしくて声が尻すぼみになった。

玲人君に向かって尋ねれば、彼はこちらを見て何食わぬ顔で答える。

「誰かさんが風呂で居眠りしたからね。仕方ないだろ」

「だって……疲れてて」

そう言い訳したら、彼は少し厳しい顔で注意した。

「だからって風呂で寝ない。風邪引く。俺がいなかったら、今頃風邪引いて熱出してたよ」

「うっ……ごめんなさい。お見苦しいものまで見せてしまって」

玲人君だって見たくて見たんじゃない。

私の裸なんか見る羽目になって、気分悪かったろうな。

ああ〜、そうだよ。
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