婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
「私は謙虚なんです」

ムッとして言い返せば、玲人君はフッと微笑する。

「まあ瑠璃らしいけど、もっと欲張って欲しいな」

何か意味ありげにじっと私を見つめる彼。

その後、朝食を食べ終わると、後片付けをしてスマホで現在地と最寄駅を確認した。

最寄駅まで徒歩十分。

結構駅まで近いんだ。

途中迷ったとしても三十分あれば余裕で会社に着く。

会社の始業時間は、九時だ。

「玲人君、私、先に行くね」

バッグを手に持ち、玄関に行こうとしたら、彼に手を掴まれた。

「待って。行くってどうやって?」

「え?電車だけど。大学の時にも何度か電車に乗ったことあるし、乗り換えもスマホでわかるから大丈夫!お財布ケータイも設定し……‼︎」

“設定したんだよ”って言おうとしたら、いきなり玲人君が私の身体を抱き締めた。

トクンと大きく跳ねる私の心臓。

な、な、何事!

< 49 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop