婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
玲人君、急に気分悪くなったとか?

「れ、玲人く……ん?」

ドギマギしながら声をかければ、彼は私の耳元で意地悪く言った。

「朝のラッシュ、どれだけ混むか知ってるの?こうやって痴漢に襲われたらどうする?」

え?痴漢?

そんなの全然想定してないよ!

両手はしっかり玲人君のホールドされて動かせない。

「実際の痴漢は瑠璃の胸とかお尻に触ってくる。そんなじっと黙ったままじゃあ、撃退なんか出来ないよ」

「だって……そんなのどうしていいかなんてわからない」

蚊の鳴くような声でそう訴えるが、彼は離してくれない。

「何も抵抗しなかったらずっとこのままだけど。どうするのかな?」

彼が私の耳元で囁く。

密着する身体。

彼の体温が伝わってきて頭がおかしくなりそう。
< 50 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop