婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
「でも……一緒に出勤したらいかにも婚約者ですって周りに言ってるみたいだし……」

「昨日親父がみんなに言いふらしてたし、もう会社中が知ってると思うけど」

「それはそうなんだけど、……あまり目立ちたくない」

もじもじしながらそう言い返せば、玲人君にギロッと睨まれた。

「周りにどんな目で見られるかなんて、充分予想は出来たはずだよね?それなのにうちに就職したんだ。今更後悔しても遅いよ」

彼のキツい言葉が胸に突き刺さる。

もう何も言い返せなかった。

彼が怒るのは当然。

生半可な気持ちで就職した私が馬鹿だった。

下らないことにこだわって……。

「……ごめんなさい」

俯いて謝ると、玲人君は私の顎を掴んで目を合わせた。

「もっと堂々としてればいい。そのうちみんな瑠璃を認めてくれるよ」

今度は優しい顔でそう告げると、私にそっと口付ける。
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