婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
私がおじさま達に”婚約破棄して下さい”ってお願いするしかないかな?

でも……それだけじゃあ、説得力がない。

「栗田さん?」

小鳥遊さんの顔が目の前にあって、驚いた私は大きく仰け反った。

「わっ!小鳥遊さん、顔近い!びっくりさせないで下さいよ」

「ごめん、ごめん。でも、栗田さん、ボーッとしてたから、ちょっと心配になって」

「……すみません」と、小鳥遊さんに謝りながらあっと閃く。

恋人が出来たって言えば、信じてもらえるんじゃない?

小鳥遊さんなら、仕事も有能で、好青年だし、彼に恋人役をお願いすればいいのでは?

「あの……小鳥遊さん」

「何?」

小鳥遊さんは私に優しい笑顔を向ける。

でも、こんな変なことをお願いするとなると、躊躇ってしまう。

「あ……やっぱりいいです」

「そういう言い方されると気になるんだけど、言ってみてよ」
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