婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
あ〜、頭おかしいって思われたらどうしよう〜!

「瑠璃ちゃん、先輩の命令は絶対だよ」

小鳥遊さんは意地悪く笑う。

それは、高校時代の先輩の顔。親しげに下の名前で呼んで笑顔で圧力をかけてくる。

「言わないと玲人に”瑠璃ちゃんがお前のスーツのジャケットに頬ずりしてた”ってバラしちゃうよ」

小鳥遊さんの目が悪戯っぽく光る。

う……そ。

副社長室に誰もいないと思ってやったんだけど、見られてた?

だって……玲人君の椅子にジャケットがかけてあって、つい出来心でやっちゃったんだよね。

「瑠璃ちゃん、早く言わないと時間切れになるよ」

ニヤリとする小鳥遊さん。

ああ〜、もう言っちゃえ!

「わ、私の恋人役やってもらえませんか?」

勢いづいてつっかかるも、何とか言えた。

「え?」

小鳥遊さんは、私の頼みに呆気に取られた顔をする。


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