婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
一緒にいれば保護者のように厳しく私を注意するのに、そういうところは優しいんだよね。

でも、彼が私のことを好きではないのは良く知っている。

高一の時に言われたんだ。

『婚約の話、栗田の方から断ってくれていいから』

それは、つまり……彼には私と結婚する気はないと遠回しに言ってるようなもので……。

ショックだった私は、家にも帰らず激しい雨が降る中を彷徨い続け、力尽きて九条邸の近くで倒れてるところを玲人君に発見されたらしい。

生まれつき身体が弱かった私は、それが原因で肺炎になり、十日間入院。

その間ずっと玲人君がお見舞いに来て、私に勉強を教えてくれた。

自分のせいで私が入院したと、責任を感じたのだろう。

思えば、その時からだ。

それまでどこか他人行儀だった彼が私のことを『瑠璃』って呼ぶようになって、やたら過保護になったのは。
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