婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
……ああ、佐藤さん、私のこと非難してるんだろうな。

実際コネで入ったし、何も反論は出来ない。

居心地の悪さを感じていたら、小鳥遊さんが私に飲み物のメニューを見せた。

「栗田さんは、お酒大丈夫?」

こういう気遣いが出来るところは流石だと思う。

気まずくなりそうな雰囲気がすぐに変わった。

「少しなら飲めます」

笑顔で答えれば、小鳥遊さんは私を見て微笑んだ。

「じゃあ、最初はビールで乾杯して、好きなの頼もうか」

コース料理を注文して、みんな美味しいしゃぶしゃぶに舌鼓を打つ。

肉は高級山形牛。

「私、副社長の婚約者が来るって言うから、高飛車な人を想像してたんですよね」

お酒が入ってご機嫌の松本さんは、ぶっちゃけ話をする。

「私みたいのでビックリでしょう?」

苦笑しながらそう言うと、彼女は「いい意味でね」と笑った。
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