婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
本当に……好きな人いるんだ。

「さあて、なんの事かな?」

小鳥遊さんがとぼける。

それからふたりが何を話したのか、ショックのあまり耳に入ってこなかった。

そのまままた寝てしまったのか、目を開けると玲人君と一緒に新居のベッドに寝ていて……。

離れようとしたら、彼にギュッと抱きしめられた。

「行くな!」

玲人君の声がしてドキッ!

ひょっとして彼も起きた?

恐る恐る顔を上げて確認するが、玲人君の目は閉じられたまま。

寝言……か。

彼の夢に出てきてるのは誰なんだろう?

私はその人の代役なのかな?

そう考えると、悲しくて目頭が熱くなる。

泣くな。

ここで泣いたら玲人君にバレちゃう。

お願いだから。涙……止まって。

我慢すればするほど止めどなく溢れてくる涙。

胸が痛い。胸が辛い。

誰かの代わりなんて嫌だ。

もう婚約なんて終わりにしたい。
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