婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
心の奥底では、彼を手放したくないと思っているのだ。

彼に依存して、執着している自分が嫌になる。

なんて醜いんだろう。

「私って……馬鹿だなあ」

彼の心の中には、もう他の女の人が住んでいる。

私が入り込む余地なんてないわけで……。

彼の幸せのために身を引くのが、彼への一番の恩返しだ。

彼からは言い出しにくいだろう。

だったら私が彼に”婚約破棄します”って告げて、この家を出ればいい。

彼のお祖父様には、私に他に好きな人が出来たとか、九条の跡取りを産む気はないとか言えば納得してくれるんじゃないだろうか。

そしたら、玲人君がお祖父様に責められることはないはず。

今まで何かと理由をつけて行動に移せなかったけど、自分が悪者になってでも彼を守るんだ。

もっと早くに決断すべきだった。

玲人君……私が優柔不断なばっかりに不幸にしてごめんなさい。
< 75 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop