婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
テラスに遊びに来た小鳥達をボーッと眺めていたら、玲人君が現れた。

「リビングにもいないから探したよ。こんなところに座ってどうしたの?」

彼は、心配そうに私の顔を覗き込んでくる。

私のことなんて放っておけばいいのに。

優しくしないで。

せっかくの決意が揺らぐ。

彼から視線を逸らし、ウッドデッキの木目をじっと見ながら答えた。

「ちょっと昨日飲みすぎちゃって頭痛くて……。テラスだったら気分良くなるかなって思ったの」

「春になったとはいえ、朝はまだ寒い。中へ入ろう」

玲人君は私にそう促し、腕を掴んで立ち上がらせる。

抗う力もなく、彼に従いゆっくりと立ち上がるも、身体がふらついた。

もう酔ってはいないのに、なんで身体がふらふらするんだろう?

「顔が赤いな。熱があるんじゃあ……」

玲人君は私の額に触れようとする。

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