婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
だが、私は咄嗟に彼の手を叩いた。

「瑠璃……?」

いつも冷静な彼が少し驚いた様子で私を見る。

自分もビックリした。

彼を叩くなんて初めてで……。

「……ごめんなさい。大丈夫だから」

もうそんな風に触れないで欲しい。

あなたの好きな人の代わりにはなれないよ。

私の腕を掴んでいる玲人君の腕を外そうとしたら、また身体がふらついた。

そのまま倒れると思ったが、フワッと身体が浮き上がって……。

「身体が熱い。これは結構熱がある。ベッドで寝てなきゃダメだ」

少し厳しい顔で言って彼は私を抱き上げ、寝室のベッドに運ぶ。

身体がだるいから、出来ればこのままもう一度寝たかった。

でも、彼と一緒のベッドに寝ることに抵抗というか罪悪感を覚えて、横にはならず、ベッドを出ようとした。

「私……家に帰って休む。お父さんに連絡して迎えに……‼︎」
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