婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
その甘いキスでようやく落ち着いてきて、彼はキスをやめて私の瞳を覗き込んだ。

「頼むから俺をあまり煽らないでくれる?理性の箍が外れて瑠璃を襲いそうになる」

ハーッと溜め息交じりの声で告げると、彼はコツンと自分の額を私のに当てた。

「やっぱり、熱高いな。朝食食べたら病院に行って診てもらおう」

『婚約解消して下さい』って言ったのに、スルーされてる。

熱でおかしなこと言ってるくらいに思われてるのだろう。

悔しくて思わず唇を強く噛むと、彼が手を伸ばして私の唇に触れてきた。

「そんなに強く噛んだら血が出るよ。瑠璃、俺は絶対に婚約解消なんかしない」

私の心を読んだように、彼は真剣な眼差しでその話を口にした。

でも、何故婚約解消しないのかわからない。

「どうして?私なんかに縛られないで、もっと自由に生きていいんだよ!」

必死に訴える私の目を見て、彼はとても穏やかな目で笑う。
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