婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
ずっと彼の側にいられる。

ついさっきまでは、悲壮感でいっぱいだった。

でも、彼のキスで身体がカーッと熱くなって、そのせいか心もポカポカしてきた。

お酒で酔っているみたいに身体がフワフワしている。

私……幸せかも。

「瑠璃?大丈夫?顔真っ赤だよ」

「だ、大丈夫。これは熱が上がってるだけだから」

激しく狼狽えながらそんなおかしな言い訳をすれば、彼は慌てた。

「それ、全然大丈夫じゃないから。氷枕持ってくる」

すぐさま寝室を出て行く玲人君。

私の胸は、呼吸が早くなって大きく上下する。

これは、本当に熱が上がってきたのかも……。

いつもはすぐ熱を出すこの身体を疎ましく思えるのに、今は違った。

「嬉しくて今にも天に舞い上がりそう」

心の声を思わず口に出してしまえば、玲人君が戻って来て苦笑した。

「今、天国に行かれたらすごく困るんだけど」
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