婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
どうやら彼に聞かれたらしい。

熱に浮かされているのか、そんなコメントを聞いてもエヘヘと笑う私。

なんだかこれが夢か現実なのかもわからなくなってきた。

夢じゃなかったらいいな。

起きて夢だったって知ったらショック死しそう。

玲人君が私の熱を計って、表情を曇らせながら「三十九度……」と呟くのが聞こえた。

「心配しないで。いつものこと」

条件反射でそんな言葉を口にすれば、彼はどこか余裕のない声で怒った。

「心配しないわけないだろ!こっちはいつだって気が気じゃない。だから俺の側から離れないで……」

“瑠璃が好きなんだ”。

彼の愛の告白が現実だったのか、夢だったのかはわからない。

でも、遠くなる意識の中、私にはそう聞こえた。





「……やっと熱下がったな」

玲人君が体温計を見てホッとした顔になる。
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