婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
そんな感想を漏らしながら、ポカンとする私を見て彼はニヤリ。

その顔を見て、唇を舐められたって実感して、顔が火照ってきた。

心臓はドキドキしている。

「もう……玲人君、急にそんなことしないでよ」

俯きながら文句を言えば、彼は「じゃあ、最初に宣言すればいいんだ?」と澄まし顔で聞いてきた。

その顔が曲者だ。

私をからかってるでしょう!

「それもダメ!」

ぴしゃりと断る。

「残念ながらその瑠璃の要望には添えないな」

その不穏な声の響きにビクッとして彼を見た。

「え?」

「もう遠慮もしないし、我慢もしないから」

彼の深緑の目が妖しげな光を放って私を捕らえ、深く口づける。

それをやすやすと受け入れてしまう自分。

「れ……玲人……君」

くぐもった声を出すと、彼は突然キスを止め、少し咎めるような口調で言った。
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