婚約破棄するつもりでしたが、御曹司と甘い新婚生活が始まりました
「お前だって瑠璃ちゃんが側にいたら安心だろう?それに仕事だってやる気になるじゃないか」

おじさまはおじさまで、玲人君を冷やかす。

そんなおじさまを彼は不機嫌顔で責めた。

「父さん、瑠璃に強要しないで下さい。彼女が困るでしょう?」

その場の空気が一気に悪くなる。

どうしよう〜!

私が働きたいと言ったばかりに、険悪なムードになってしまった。

居たたまれなくなった私は、思わず手を挙げて口にしてしまう。

「あの……やりたいです。玲人君の秘書」

その場を収めるにはそれが一番の方法に思えた。

だが、玲人君は、”お前は馬鹿か”と言いたげな目で私を見る。

「大丈夫だよ」

玲人君に笑ってそう言うが、ハーッという彼の長い溜め息が聞こえた。

心配しないで。

玲人君の会社には就職しないから。

そっと心の中で呟く。
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