そばにいるよ、ずっと。
放課後になって、私は教室に戻る前にトイレの洗面台の鏡の前でため息を吐いた。
ポケットから、さっき茉希にもらったルージュを手に取る。
「…イチコロ…ねぇ」
男の子って、こういうのにドキッとしてくれるのかな…?
“ キスされちゃうかもー! ”
茉希の言葉が頭を過る。
私は首を左右に振って、顔をパチンと両手で叩いた。
でも、付けて…みようかな。
私はルージュのフタを取って、自分の唇にゆっくり付けた。
「…こんな、感じ…かな?」
あまり付けすぎないでねって茉希に言われた通り、薄めにルージュを唇に乗せた。
鏡に映る私はいつもと違って、なんだか大人の階段を上った気分……。
なんだか、髪も下ろしてみたくなった。
頑張って背中半分まで伸ばした髪を下ろして、いつもと違う自分を見つめる。
オシャレをして、好きな男の子に見てもらいたいって衝動……。
女の子がなんでオシャレをして、化粧をするのか、何となくだけど分かった気がした。