そばにいるよ、ずっと。
サッカーボールを操る彼の姿ばかりを目で追って、もうすぐ1年。
翼くんとは、去年同じクラスになって席が前後だったことから知り合った。
紺野つばさ
佐々木翼
私の学籍番号の次が、翼くんだった。
緊張しながら入学式でクラス表を見た時に名前を知って、凄い偶然だなって思った。
教室に向かうと、私の席の後ろには翼くんが椅子に座って、隣の席の男子と楽しそうに話していて。
座ろうとした時に彼と目が合って、バチッとなんだか体に電気が走ったような感覚を持った。
「もしかして……紺野…つばささん?」
「あっ…はい……」
恐る恐る返事をすると、翼くんはぱあっと明るい笑顔を向けた。
「同じ名前なんて、すげー偶然!なんか嬉しいっ、これからよろしくな!」
そう言ってニカッと笑う翼くんは、スッと右手を差し出した。
こんな素敵な男の子と同じ名前だなんて、凄く申し訳ない気分になったけど。
それと同じくらい、なんだか嬉しいなと思っていた自分がいた。
「…うんっ、よろしく!」
それから翼くんと仲良くなるのに、そんなに時間はかからなかった。