女の賞味期限
「え……何かおかしいですか?」

ハンカチを差し出したまま、店員さんは戸惑っていた。

それはそうだろう。

泣いている女性に、親切心でハンカチを差し出したというのに、お礼を言われるどころか、逆に笑われるなんて。

「ふふふっ。ごめんなさい。普通は『アイロンも掛けています。』って言うかもって思ったら……」

私はまた、店員さんがハンカチを差し出した時の事を思い出して、笑ってしまった。

「そうですね。しかも、アイロン掛けてないなら、バカ正直にそんな事、言わなきゃいいのに。」

それを聞いて、私はまた可笑しなって笑ってしまった。


人間って、笑えば楽しくなるって本当だ。

ちょっとした事がきっかけで笑ったら、どんどん可笑しく思えて来て、涙もいつの間にか吹き飛んでいた。

これは、この若い店員さんに、お礼を言わなきゃ。


ふと顔を上げて、周りを見ると、2組のカップルが私達の方を見ている。


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