女の賞味期限
はっ!

まさか、私がさっきのゴタゴタに紛れて、DVDでも盗んだと思っているの!?


「あの……DVDなら、全部拾って返しましたけど?」

「いや、DVDの事じゃないんで。」

私は目をパチクリさせ、店員さんから目を逸らした。


やばい。

何?DVDの事じゃなかったら、何だと言うの?

もしかして、身の危険?

この事は黙っておくから、一度やらせろとか?

ひぃー!

いくら経験を積んだおばさんでも、それだけは勘弁!


「いいから、ちょっと。」

店員さんは、拾ったDVDを持ちながら、カウンターの方へ歩いて行く。

これは、私。

着いて行かなきゃ、ダメ?

さっさとカウンターに着いた店員さんは、振り返って私の方を見ている。

行こうか、行くまいか迷っている私に、店員さんは手招きをした。

ええい!

この際だから、着いて行かなきゃ、女が廃る。

私は思い切って、店員さんのいるカウンターに向かった。


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