女の賞味期限
「ここ、入っていいんですか?」

財布をぎゅっと抱きしめ、恐る恐る尋ねた。

「いいですよ。この奥なんで。」

えっ?

この奥?

確かに、壁の一番奥に、鉄製のドアがあった。

待って。

この中に、何があるの?

背中に、何やら嫌な汗が滲んできた。

いよいよ、体かお金を差し出せ、と言われるんじゃあ。

それよりも酷いのは、監禁!?

嫌だ、この歳で監禁されるなんて!!


店員さんが、鉄製のドアを開けると、中にはグレーのソファが見えた。

心臓がドキンッとする。

あっ、いや。

店員さんがカッコいいからって、ドキッとしちゃあ、ダメでしょ。


それよりもこれは、着いてきてはダメなパターンなのでは?

カウンターの奥をウロウロしている私に、店員さんは尚も手招きをする。


「あの……そこは……」

何となく聞いてみた私に、店員さんは衝撃の一言を私に告げた。

「あっ、俺の部屋です。」
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