女の賞味期限
「えっ!?」

あまりの事に、声を出して驚いてしまった。

「職場に、自分の部屋があるんですか?」

「と言うよりも、家って言いますか……」

「そ、そ、そこに住んでるんですか?」

「はい。」

開いた口が塞がらなかった。

誰が、レンタルショップのカウンターの奥に、住んでいる人がいるなんて、思うだろう。


「なんで、遠慮なく入っちゃって下さい。」

いや。

それを聞いたら、益々入れないでしょ。

男性の部屋なんて、そんな気軽に入っていいものなのか?


「どうぞ、どうぞ。」

店員さんは、本当に玄関らしきところで靴を脱ぎ、スリッパに履き替えている。

「スリッパ、これ使って下さいね。」

そして、スリッパのラックから綺麗なスリッパを取り出した。

その間、ドアは左手で押さえたまま。


私はドア、いや玄関の前に立った。

ここを一歩前に進んだら、この人の言いなりにならなければ。

額から、汗がツーッと流れた。
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