女の賞味期限
「うっ……」

そんな事を思ったら、急に涙が出てきた。


オバサンは、好きな人に振り向いて貰えないし、本命にもなれない。

押し倒されても、襲われる事もないし、口説かれる事もない。

何でだろう。

若いって言うだけで、そんな特権がつくというのなら、永遠に20代でいたい。

30代になんて、なりたくなかった。


「どこか痛いんですか?」

店員さんが、泣いている私の側にいてくれる。

さっきまで笑っていたのに、今度は泣き始めるなんて。

何なんだろう、このオバサンって思われるよね。


しっかりしなきゃ。

誰からも救われないオバサンなんだから。

私は、涙を拭いた。

「すみません。大丈夫です。」

私は、ゆっくりと起き上がった。

もちろん、若い店員さんに、背中越しに手を当てられる事もない。


「しばらく横になったら、よくなりました。ありがとうございます。」

私は頭を下げた。



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