女の賞味期限
「そうですか……」

「はい。本当によくして頂いて、助かりました。」

そして私は、又頭を下げた。

その瞬間、急に何度も頭を振ったせいか、クラッと軽く貧血気味。

そのまま、ソファに逆戻りした。


「大丈夫ですか?大丈夫ですか!?」

店員さんが、私の体を揺らす。

あー、オバサンなのに、情けない。

「だ、大丈夫……ですぅ……」

しっかりしなきゃ、しっかりしなきゃ。

ここは起き上がって、早く帰らなきゃ。


すると、店員さんはどこからか毛布を持って来てくれた。

「これ、俺の毛布ですけど、使って下さい。」

店員さんは、恥ずかしそうに私に毛布をかけた。

あまりの優しさに、なんだか力が抜ける。


こんなに優しい店員さんに、良くしてもらって、オバサンがあーだこーだと言っている自分が、何だか恥ずかしい。

世の中、若かろうがオバサンだろうが、自分の面倒は自分でみる。

それが当たり前なんだから。



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