女の賞味期限
「あっ!やっぱり匂いますか!ちょっ……ファブリーズとかないかな……」

棚を探して、消臭剤を探している姿は、なんだか可愛らしく見えた。

「いえ。大丈夫です。」

私は、掛けてもらった毛布を、胸まで掛けた。

その時フワッと、若い店員さんの、毛布についた匂いが香ってきた。

でもこの匂い、不思議と嫌じゃない。


うん。

ここは少しだけ、この店員さんに甘えさせて貰おう。

図々しいは、オバサンの特権だ。

「お言葉に甘えて、少しだけ休ませて貰いますね。」

振り返った店員さんは、「はい。」とだけ答えてくれた。

私が目を閉じると、店員さんは忍び足で部屋を出て行き、ドアを閉める時に、電気まで消して行った。

真っ暗の部屋の中。

他人の男性の部屋で、寝るなんて、思いもしなかった。


今日はいろんな事があったな。

朝から衝撃の事実を三条君から聞いて、夜にはこのレンタルショップでDVDをぶちまけて。

夜明けまで、あとちょっと。

< 33 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop