女の賞味期限
洗面台を借りて、少しだけ顔を洗い、昨日借りたハンカチで顔を拭いた。

恥ずかしいけれど、すっぴんで来てよかった。

そろそろ帰ろう。

私がドアに向かって、歩き出した時だ。


タイミングよくドアが開いて、若い店員さんが袋を抱えて登場した。

「おはようございます。」

「おはよう、ございます。」

朝陽にすっぴんという、もっと恥ずかしいシチュエーション。

しかも一緒に寝ていないと言うのに、この醜態を曝すというプレイ。

一体、何だと言うんだろう。

正直、早く帰りたい。


「昨晩は、どうもありがとうございました。」

ペコッと頭を下げると、店員さんは「いえいえ。」と言いながら、袋をテーブルの上に置いた。

もしかしたらこの人、ここで朝食なのかな。

そうだとしたら、私、邪魔者じゃん。


「では、私はこれで。」

邪魔者はさっさと立ち去らなきゃね。

恥ずかしいけれど、私もコンビニで朝ご飯買って帰ろう。
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