女の賞味期限
私が背中を向けて、去ろうとした時だ。

「ああ、朝食買って来たので、一緒に食べませんか?」

「えっ……」

私と一緒に、朝ごはん!?

もう一度言うけれど、別に一緒に寝た訳でも、セックスした訳でもないのに。

恥ずかしいくらいに、茫然としてしまった。

「ね。」

その優しい言葉に釣られて、私はもう一度ソファに座った。


「顔、洗いました?」

「え、ええ……洗面所、お借りしました。」

「いいんです。使って下さい。」

店員さんが持っていた袋の中には、おにぎりやサンドイッチが入っていた。

「何が食べたいか分からなかったので、とりあえず。」

「もしかして、コンビニで買って来てくれたんですか?」

「はい。」


他人が私の為を思って、何かをしてくれるって、なんでこんなに首のあたりがサワサワするんだろう。

嬉しくて、自然に笑顔が綻ぶ。

「じゃあ、サンドイッチで。」

私は、レタスハムサンドイッチに、手を伸ばした。


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