女の賞味期限
そうなれば、中に入るしかない。

私は、部屋の中に入った。

「お邪魔しまーす。」

靴を脱ぎ、昨日横になったソファを目指した。


テーブルにお菓子の箱と、バッグを置くと、窓の方に行って、カーテンを開けた。

陽の光が、眩しい。

うん、今日はいい天気だ。


その時だった。

「うーん……」

ベッドの方から、人の声がした。

「ひっ!」

だ、誰!?

私は、ソファの陰に隠れた。

誰もいないはずの部屋に、誰かいる!?

なに、泥棒?


「誰?……花梨?」

ベッドからのそっと起き上がったのは……

「……長岡さん?」

そう。

昨日会った、長岡さんだった。


「ええっ!?柏崎さん!?」

上半身裸で、寝起きの長岡さんは、私の姿に逆びっくりしている。

そりゃ、そうだ。

人が眠っている間に、他人が部屋の中にいるのだから、これ以上の恐怖はない。

私だって、長岡さんの立場だったら、即警察に電話していただろう。

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