女の賞味期限
ドタキャンされた?

それとも、最初から約束なんて、無視だった?

私は、空を見上げながら、ため息をついた。

もう5分だけ待とう。

きっと何かあったんだ。

仕事をしている時って、なかなか定時で終わる事って難しいし。

そうそう。

ここで待ってれば、大成君は必ず来てくれる。

そう思っていた時だ。


レンタルショップのドアが開いて、私の隣に息を切らせながら、パーカー姿の大成君が、やってきた。

「ごめん、遥香さん。」

下を向きながら、慌てている格好が、可愛く思えてしまう。

「お客さんがきれなくて、定時にあがれなくて……」

一生懸命言い訳をする大成君の背中を、私は摩ってあげた。

「大丈夫?」

まだ息を切らしながら、大成君は顔を上げた。


「来てくれてよかった。ドタキャンされたかと思ってたから。」

大成君は、上半身を起き上がらせて顔を手で覆った。

「……怒らないの?」

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