女の賞味期限
大成君の口元に当てている指の隙間から、頬が赤くなっているのが見えた。

「本当だね。普通、これだけ遅れたら、怒るよね。」

でも何でだろう。

私は、怒る気すらなかった。

私だって、定時にあがれなくて、デートに遅れた事があった。

相手に”だらしない””定時にあがれないなんておかしい”と言われて、心が傷ついた。

「ドタキャンなんてしないよ。僕、遥香さんとのデート、昨日から楽しみにしてたんだから。」

途端に私の胸は、キュンとなる。


キュン?

胸がキュン?

どこに眠っていたんだ?この気持ち。


「嬉しい。そう言ってくれて。」

10歳年下の男の子なんて、まともに相手にしてくれない。

そう思う気持ちこそ、間違っていたとしたら……


「で、でも……連絡くらいは、欲しかったかな。」

思い切って、言ってみた。

「そうだよね。着替えている間でも、連絡すればよかった。ごめんなさい。」



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