女の賞味期限
3杯目のビールが来た時、私は驚いて顔を上げた。

「……男の人なのに、珍しいね。」

「だって、遥香さんみたいに、包容力がある人だっているでしょ。それって、30代女性ならではの魅力だと思うな。」

思わずニヤけてしまった私を、大成君を微笑んで見つめていた。

「大成君って、若いのに視野が広いのね。」

「そうでなければ、映画関係の仕事はやっていけないと思うから。」


そうだ。

彼は、映画関係の仕事をしたいんだよね。


「今まで一度も、映画関係の仕事、受からなかったの?」

その途端、大成君の顔が固まる。

あっ、私地雷踏んだ?

大成君がせっかく、私の事誉めてくれたって言うのに、自分で雰囲気ぶち壊した?


いや、だって専門学校行ったかどうかは分からないけれど、学校卒業して数年。

一度も受からなかったって、おかしくない?

どっかのADなら、簡単に入れそうじゃない?

と思うのは、素人の考えですか?
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