女の賞味期限
「大丈夫だよ、遥香さん。俺が作れるから。」

大成君は、私の肩をポンと叩いた。

「あっ、そう……ですか。」

「よし!合挽き、合挽き!」

大成君は、近くにあった合挽き肉をカゴに入れた。

「後は卵と、玉ねぎと、パン粉と……」

「全部、家にあるよ。」

「付け合わせのポテトも?」

「うん。」

「じゃあ、OK!」

大成君は軽い足取りで、レジの方向へ向かう。


「そうだ。缶ビール買ってもいい?遥香さん。」

途中で振り返った大成君は、付き合いたての彼氏みたいだった。

その途端に、ハッとする。

いや、別に付き合ってる訳じゃないんだから、誤解のないようにしないと。

「どうしたの?遥香さん。」

「あっ、いやっ!」

私は急に、手を前に出した。

「ビールなら、家にあるよ!」

「本当?遥香さんっちって、何でもあるんだね。」

「はははっ……」

何とか誤魔化せたけれど、これからも気を付けなきゃ。

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