女の賞味期限
その日の夕食は、大成君が作ってくれた手作りハンバーグだった。

ソースとケチャップで作ったデミグラスソースが、何とも言えず美味しくて、私は唸りながら食べ干した。

「うーん。美味しかった。」

お腹を摩りながら、食べ終わった皿を見て、満足満足。


「胡椒、少し多めに入れたんだけど、大丈夫だった?」

「大丈夫、大丈夫。」

大成君のその胡椒多めのハンバーグが、本当に美味しかった。

ふと見ると、大成君が皿を片付け始めている。

「遥香さんのも、持って行くよ。」

「あっ、お願いします。」

思わず皿を重ねてしまったけれど、後で文句言われないかな。


そんな事は気にしないと言わんばかりに、大成君は皿をキッチンへ運んでいく。

「そうだ、遥香さん。ビールお替りする?」

キッチンから聞こえてきた声に、私はガクッとした。

片や皿の片づけ、片や椅子に座ってのんびりしてるって、女としてあるまじき行為なのでは?


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