女の賞味期限
私はゆっくりと、キッチンを見た。

そして、目がだんだん点になっていくのを感じた。

「ん?」

だって、大成君が食べ終わった皿を、洗っているではないか。

「た、大成君!?」

私は急に立ち上がって、キッチンへ向かった。

「お、お皿、私が洗うよ。」

「いいよ。俺、洗っちゃったし。」

大成君は手際がいいのか、もうほとんどの皿を、洗い終わっていた。


こ、これでは……女が廃る?

男の子の方が、気を利かせて先に皿を洗ってくれるなんて!


「ありがとう。」

一応、頭を下げる。

お礼を言うには、共同生活の鉄則だ。

「ううん。気づいた方がやればいいんだし。それに今の時代、皿ぐらい洗えなかったら、女性に捨てられちゃうからね。」

大成君はそう言って、舌をペロッと出した。


そうなのか!

今時の若い子は、そんな事まで考えているのか!

だったら、お皿を洗って貰っても、気にしない方がいい?


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