蜘蛛(くも)
「くそぉ、何で俺は寝ちまったんだ、月深雪よ一体どこに消えちまったんだよぉ」
蜘蛛は悔やんでも悔やみ切れなかった。
遭いたい、もう一度だけでもいいから逢って、あの美しい声を聞きたい。そしてもう一度抱きしめたい。
蜘蛛の思いは、日が立つに連れ、深く心に積もっていった。それはあたかも、粉雪が少しずつ地面に降り積もってゆく様に寂しく冷たかった。
秋風が吹きはじめても、蜘蛛は何も食べなかった。
蜘蛛は、獲物が罠にかかる度に、月深雪ではないかと思い、そうでないと解ると、獲物を罠から外してやり、解き放った。
そんな事を繰り返すうちに、蜘蛛の体は、みるみるうちに、痩せ細って行った。
蜘蛛の罠は、いつの日からか、獲物をとる罠ではなく、月深雪を待つ愛の砦(とりで)になっていた。蜘蛛は枯れ葉が掛かる度に、一喜一憂した。
そして次第に弱って行った。
蜘蛛は悔やんでも悔やみ切れなかった。
遭いたい、もう一度だけでもいいから逢って、あの美しい声を聞きたい。そしてもう一度抱きしめたい。
蜘蛛の思いは、日が立つに連れ、深く心に積もっていった。それはあたかも、粉雪が少しずつ地面に降り積もってゆく様に寂しく冷たかった。
秋風が吹きはじめても、蜘蛛は何も食べなかった。
蜘蛛は、獲物が罠にかかる度に、月深雪ではないかと思い、そうでないと解ると、獲物を罠から外してやり、解き放った。
そんな事を繰り返すうちに、蜘蛛の体は、みるみるうちに、痩せ細って行った。
蜘蛛の罠は、いつの日からか、獲物をとる罠ではなく、月深雪を待つ愛の砦(とりで)になっていた。蜘蛛は枯れ葉が掛かる度に、一喜一憂した。
そして次第に弱って行った。