蜘蛛(くも)
不思議な生き物は、かすかに、息をしていたので、蜘蛛は少しホッとして、糸を手繰り寄せながら、枇杷の葉まで不思議な生き物を大事に引き上げた。
蜘蛛は空腹すら忘れ、一生懸命だった。
何も考えずただひたすら一生懸命だった。
蜘蛛は、美しい光りを放つその不思議な生き物を、枇杷の葉の大きなベッドに優しく寝かせた。
いい匂いがした。
それは、キンモクセイの香りに似ていた。
蜘蛛は、美しい生き物が、眠りから覚めるまで守ってやろうと思った。
空に浮かぶ月が、それを見守るように、優しい光で彼等を包んだ。
夜の湿った風が、心地よく感じる夜だった。
蜘蛛は、美しい生き物の傍らで、こんな時間が、永遠に続けばいいと思い、月に祈った。
しばらくして、美しい生き物が目を覚まし、小さな声でつぶやいた。
「つ・き・み・ゆ・き」
蜘蛛は空腹すら忘れ、一生懸命だった。
何も考えずただひたすら一生懸命だった。
蜘蛛は、美しい光りを放つその不思議な生き物を、枇杷の葉の大きなベッドに優しく寝かせた。
いい匂いがした。
それは、キンモクセイの香りに似ていた。
蜘蛛は、美しい生き物が、眠りから覚めるまで守ってやろうと思った。
空に浮かぶ月が、それを見守るように、優しい光で彼等を包んだ。
夜の湿った風が、心地よく感じる夜だった。
蜘蛛は、美しい生き物の傍らで、こんな時間が、永遠に続けばいいと思い、月に祈った。
しばらくして、美しい生き物が目を覚まし、小さな声でつぶやいた。
「つ・き・み・ゆ・き」