君がいた季節


「これを見るとね、もうすぐ冬がやってくるんだなぁ…って、思うんだ」

ベッドに腰掛け、ふふふ、と笑った理乃がチョコレートをひとつ口に放り込んだ。

「ふぅん」

理乃の選んだチョコレート菓子の箱には、どれも『期間限定』の文字が印字されている。

「女の子ってさ、好きだよね、こーゆーの」

ベッドを背もたれにしていた俺は、まだ開封されていない箱をひとつ手に取り、眺める。

「確かに~。期間限定、数量限定、地域限定。
『限定』ってつくものになぜか惹かれちゃう」

ちょうだい、と言って俺の手から箱を取り上げた理乃。

ペリペリと封を開けながら、

「このキャラメル風味のチョコ、去年は売ってなかったんだよ」

なんて、楽しそうに話す。

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