君がいた季節


何も変わらなかった。

たくさんの思い出を作ろうと、あちこち出掛けたりはしなかったし。

「会ってばかりだと、別れるとき辛くなるから」

なんて、距離をおくこともなかった。


今までどおり。

何も変わらない。


クリスマスも一緒に過ごしたし、初詣にも一緒に出掛けた。

何度も、手を繋ぎ、キスをして、お互いの体温を直接肌に感じていた。


実感が湧かない、って理由もあったのかもしれない。

こんなにも愛おしいと思う相手と、離れ離れになることが。

きっと、受け入れられないでいるんだ。


納得して出した答えのはずだったのに、できれば取り消してしまいたいとさえ思う。


「……理乃」


この気持ちもいつか、溶けてなくなるのかな。

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