君がいた季節
「…ついに、やってきちゃったね」
去年と同じ。
体育館の裏で、人目を避けるように向き合っていた。
「これが、……最後だから、ね」
そう言って差し出された手作りのチョコレート。
薄い、薄いピンク色の包み紙には、所々にうっすらと折り目が残っていた。
「相変わらず不器用だな」
クスッ、と笑った俺の腹にチョコレートを押しつけた理乃。
「でも味は、超一流なんですっ」
真っ赤に染まった頬を隠すように、首に巻いていたマフラーに顔をうずめた。
その姿がとても愛らしくて、抱きしめたくなる。
一年前、こんな終わりを、誰が想像できただろう。
こんなにも理乃を好きになるだなんて、正直、思ってもみなかった。