君がいた季節

ーーーーーーー

久しぶり。
元気?

ーーーーーーー

たったそれだけの言葉。

ずっと送信することができずにいる。



卒業式の日、靴箱に入れられていた手作りチョコレート。

薄いブルーの包み紙には、やっぱり所々うっすらと折り目が残っていた。

『これが、……最後だから、ね』

なんて言ってた彼女が、


卒業おめでとう。東京でも頑張って。


メッセージ付きのチョコレートを、そっと靴箱に忍ばせていた。


思わず、

「……嘘つき」

呟いてしまった。


今でもまだ、忘れられない。

会いたい。

会いたい。


彼女が待ちわびていた、期間限定のチョコレートが店に並ぶ頃。

会いに行ってもいいだろうか。


会いたいんだ。

会いたい。






【END】

< 108 / 109 >

この作品をシェア

pagetop