君がいた季節
『時田さんたちがいちばん落ち着くと思います』
二年前、彼女がそう言った。
若くてかわいい新人とくれば、飲み仲間に加えたいと思うのは当然のこと。
あちこちのグループから誘いがあり、週末はいつも忙しそうだった。
『私、あまり顔に出ないタイプで。あれもこれもって、飲まされちゃうんですよね。
時田さんたちとは、自分のペースで飲めるっていうのもあるけど。みなさんいい人だし。
ご一緒させていただけて嬉しいです』
彼女が俺たちの飲み仲間としてここにいてくれる理由。
でも、理由なんてどうでもよかった。
彼女と同じ時間を過ごせるなら、たとえ二人きりでなくても構わない。
彼女のいる風景を眺めるのが好きだった。
愚痴をこぼしながらも、何年も勤める会社に。
何度となく一緒に飲んできた仲間の輪の中に。
彼女の笑顔がある。
そんな風景がたまらなく愛しい。